2023年(令和4年)の確定申告について、いくつか変更点があることはご存知でしょうか?
実は大きく4つの変更点があり、確定申告をするためには正しい知識を身につけておく必要があるでしょう。
この記事では、2023年度の確定申告で変わった点や知っておくべきポイントなどをわかりやすく解説しています。確定申告の時期になって慌てないように、事前にしっかりと覚えていただけると幸いです。
2023年から提出する確定申告の書類に関する変更点4つ

- 申告書Aが廃止
- 第一表に「修正申告」欄が追加
- 収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応
- 「雑所得(業務)」における書類の取り扱いが厳しくなる
2023年度から提出する確定申告の変更点は、主に上記4つです。
それぞれ、具体的に解説していきます。
1:申告書Aが廃止
これまで確定申告を行なっていた人はご存知かもしれませんが、確定申告用紙はAとBに分かれていました。しかし2023年度から提出するものに関しては、申告書Aは廃止されて申告書Bに一本化されます。
従来の確定申告書Aは、確定申告書Bの簡易版みたいな位置付けでした。
申告する所得がサラリーマンなどのような給与所得の人や公的年金がある人、その他の雑所得を得ている人などに向けて確定申告書Aがありましたが、2023年からはAとBの区別がなく「確定申告書」の1種類となるのです。
2:第一表に「修正申告」欄が追加
申告書Aが廃止されることで、修正申告の際に使用する第五表も廃止されました。それに伴い、申告書の第一表に「修正申告」の欄が追加されます。
修正申告は、確定申告の期限後に本来納付すべき税額よりも少ない金額を申告した場合に、修正して申告することを言います。
これまでは修正申告を行う場合、申告書は原則「第一表」と「第五表」(別表)の提出が必要でした。
修正申告時には第五表に修正前の所得や税額と、修正によって増加する税額などを記載。第一表には修正後の所得や税額を記載する必要がありました。
しかし、従来では一度提出した確定申告書と同じことを記載する点も多く、今回の変更は簡素化が目的だと考えられます。
3:収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応
確定申告で「白色申告」を選ぶ人は、収支内訳書を確定申告時に添付して提出する必要があります。従来、収支内訳書は事業所得や不動産所得などを得ている人が対象となっていましたが、2023年度からは「雑所得」がある人も収支内訳書の提出が必要となります。
ちなみに、雑所得には次のようなものがあります。
- 公的年金等の雑所得
- 業務に係る雑所得
- その他の雑所得
このうち2つ目の業務に係る雑所得について、「前々年度の売上高が1,000万円を超えていた場合」に収支内訳書を提出する必要があります。
4:「雑所得(業務)」における書類の取り扱いが厳格化する
収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応したことで、「雑所得(業務)」における書類の取り扱いが厳しくなりました。
具体的には、前々年分の業務に係る売上高が300万円を超えた場合、業務に係る雑所得について、請求書や領収書など取引に関する書類の保存が義務化されました。この書類は、確定申告後5年間は保管しなければいけません。
2023年の税制改正に伴う確定申告の変更点

ここからは、2023年の税制改正によって変更された点についてまとめていきます。
2023年10月からは「インボイス制度」が開始予定ということもあり、従来とは異なる点も多くあるでしょう。特に覚えておきたいポイントを3つまとめてみました。
1:住宅ローン控除の適用期限・借入限度額等の見直し
この制度が適用されることによって、非常に高い節税効果が期待できます。所得控除とは異なり「税額控除」なので、所得税額から直接減額されるため節税効果が高くなるのです。
そもそも住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを取得(リフォームも含む)などした場合において、一定の要件のもとに住宅ローンの年末残高をもとに、居住した年分以降の所得税額から一定の控除(住宅借入金等特別控除)を受けられるというもの。
ちなみに、所得制限は2,000万円です。
具体的な変更点としては下記のとおりです。
- 住宅ローン控除の適用期限を4年延長される
- 2025年12月31日までに入居した人が対象
- 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた措置として省エネ性能の高い住宅の取得を促す
- 控除率を改正前の1%から0.7%に変更
居住用財産の買換え等に関する特例等の見直し
この特例の正式名は、「特定の居住用財産の買替及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例」と言います。
内容は、マイホームを売却して別のマイホームを買い換えた場合、一定の要件のもとに売却益の繰り延べができるというものです。“利益の繰り延べ”は、非課税となるものではなく、買い換えたマイホームを将来売却するときまで課税を待ってくれるという意味となるため、覚えておくといいでしょう。
年内にマイホームを買い換えた際に、買い換えたマイホームの価額のほうが安かったため売却益が出た人が対象となます。
具体的な変更点は、下記のとおりです。
- 特例の適用期限を2年延長されて2023年12月31日まで
- 買い換えた新築のマイホームが一定の省エネルギー基準に適合していること
控除に関する確定申告手続きの見直し
今回の改正によって、社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除に関する確定申告手続きが見直しされました。
年末調整や確定申告において、添付すべき「書面」を「電子データ」で提供できるようになったのです。元々は年末調整や確定申告において、所得控除や税額控除を適用するためには、それぞれの証明書や根拠となる資料を提示する必要がありました。
今回の改正によって電子データでの提出が可能となったものを、下記にまとめています。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 住宅ローン控除
控除証明書の発行者から電子データで証明を受けた人が対象となります。
2023年の確定申告の期限
2023年度の確定申告は、2月15日〜3月15日です。しかし混雑を避けるためにも、e-Tax(電子申告)では1月4日から申告を受け付けているので、利用してみるといいでしょう。
また、所得税の納付期限は2023年3月15日です。確定申告書を提出しただけで納付しない状態げ続くと延滞税が付いてしまうので、注意が必要です。
振替納税を選択した場合は2023年4月中旬なので、口座の預金残高を確認しておきましょう。
確定申告は余裕を持って取り掛かろう
確定申告に関する変更点などは、国税庁のサイトやパンフレットなどでアナウンスがされています。しかし、どれが自分に該当するかは申告者でなければわかりません。
大事な手続きなので、しっかりと変更点を確認しておき、余裕を持って確定申告に取り掛かることをおすすめします。