フリーランスや副業で収入を得ている方にとって、疑問に感じるのが「確定申告」についてだと思います。
普段会社に勤めているのであれば、確定申告とはあまり関わりがないかと思います。しかし会社とは別の収入がある場合は、確定申告をしなければいけないケースもあるでしょう。
きちんと確定申告について知識を身につけておくことで、税金に関する悩みや不安を解消することができます。
この記事では、業務委託・副業で収入を得ている方に覚えていただきたい「確定申告」についてまとめているので、ぜひ最後まで参考にしてみてください。
業務委託契約について理解する
まずは「業務委託契約」について説明をしていきます。
業務委託契約とは、 企業が運営する事業の中で、業務の一部もしくは全てを外部の個人または法人に委託する業務形態のことを指しています。
会社員とは違い、委託側と受託側はあくまでも対等な立場で契約を結びます。
また、実は「業務委託契約」という契約は法律上、存在しません。下記の3つの総称として「業務委託契約」が使われていることを覚えておきましょう。
それぞれの契約について、詳しく解説をします。
請負契約
請負契約とは、受託者が完了した仕事に対して委託者が報酬を支払う、という契約形態のことです。また、品質の満足にも責任を負う「契約不適合責任」があることが特徴となります。
例えばシステム開発やデザイン、ホームページ制作や記事執筆など、納品後に報酬が支払われるものが「請負契約」と言えるでしょう。
準委任契約
委託契約は、正式な民法上の名称は「準委託契約」と言います。
業務が完了していない場合でも、働いた時間や日数に応じて報酬が支払われる契約形態です。また、委託者の希望した結果を得られなくても、報酬を受け取ることができるのが特徴です。
例えばシステム開発でも、SES契約は準委任契約の一部と言えるでしょう。
なぜ業務委託の人は確定申告が必要なのか
業務委託者や副業をしている一部の人は、基本的に確定申告が必要です。ではなぜ確定申告が必要なのか、こちらで解説をしていきます。
まず覚えておくべきことがあり、「業務委託者」と「会社員」の収入の受け取り方の違いについてです。
会社員の場合は給与から所得税などの税金が引かれた後、年末調整を行うことで所得税の申告を行います。 一方で業務委託者の場合は、自分で確定申告を行って所得税を支払う必要があります。
つまり副業やフリーランスとして業務委託契約で仕事をしている方は、自ら収入を管理して確定申告をする必要があるのです。
業務委託で働く人は、仕事の支出を「経費」として計上することができます。収入から経費を差し引いた金額の合計が「所得」となることを覚えておきましょう。
このように、「業務委託者」と「会社員」の収入の受け取り方の違いを理解しておくことが、確定申告をスムーズに行うための第一歩となります。
業務委託契約で確定申告が必要なケース
前述した通り、原則として業務委託で報酬を得た場合は確定申告が必要です。ただし例外もあるため、そちらについては後述したいと思います。
確定申告が必要となるケースについて、下記でまとめているので参考にしてみてください。
副業で年間所得が20万を超える場合
本業とは別で、副業で年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
会社員の副業収入は、「雑所得」に該当します。雑所得の場合、年間収入から必要経費を除いた所得が20万円を超えると確定申告が必要となるため注意しましょう。
本業で年間所得が38万を超える場合
フリーランスとして仕事をして業務委託のみで生計を立てている場合は、確定申告をする必要があります。 「事業所得」に該当するため、年間所得が38万円を超える場合は確定申告の必要があることを覚えておきましょう。
この38万円という金額は、全ての人に認められている基礎控除の金額です。
しかし38万円を下回る場合は、税金が発生しなくなるため確定申告は不要となります。
配偶者控除の対象となる場合
配偶者控除の対象となっている人が、在宅ワークなどで一定の報酬を得ると確定申告が必要となります。
年間所得が 38万円を超えると確定申告が必要となるだけでなく、配偶者控除が適用されなくなることに注意しましょう。
しかし配偶者控除の適用がない場合でも、年間所得が38万円を越えなければ確定申告は不要です。
扶養控除の対象となる場合
年間所得が38万円以下(給与所得の場合は103万円以下)で、家族からの扶養対象となっている方も確定申告が必要となる場合があります。
これらの方が業務委託によって年間所得が38万円を超える場合、確定申告をしなければいけないのです。さらに、所得があるということで扶養控除の対象から外れることになります。
つまり税金を自分で納めなくてはいけなくなるということを覚えておきましょう。
業務委託の確定申告には2種類の方法がある
業務委託で報酬を受け取っている人が、確定申告をしなければいけないことは先述した通りです。さらに、確定申告には2種類の申請方法があることを知っておく必要があります。
- 青色申告
- 白色申告
どちらの方法で確定申告をするかによって、納める税金に違いが出ることを覚えておきましょう。
青色申告
「青色申告」とは、日々の取引を記録するために帳簿を記入して、その記録にも続いて確定申告を行う制度のことです。税金面でもたくさんのメリットがあるため、申告は「青色申告」にするのがおすすめ。
ただし青色申告を適用したい場合は、事前に「開業届」と青色承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
フリーランスなど、本業として業務委託契約を交わして仕事をする場合は、青色申告の方が大きなメリットがあります。
白色申告
「白色申告」とは、税制上のメリットがない代わりに帳簿作成が簡単な申告方法となります。副業で確定申告をする場合など、そこまで所得の希望が大きくない場合は白色申告でも大丈夫です。
青色申告をする場合は「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する必要があることは先ほど説明しましたが、もし提出していない場合は、自動的に白色申告となることを覚えておく必要があります。
「帳簿作成が簡単」と述べましたが、2014年の法改正によって白色申告の貴重が義務化されているため、どちらの申告方法でも帳簿付けする必要があることを覚えておきましょう。
雑所得に含まれない収入について理解する
- フリマアプリの売上
- NISAやiDeCoの利益
- 付与されたポイント
- 宝くじの当選金
上記のような方法で収入を得た場合は、もし年間収入が20万円を超えたとしても確定申告は不要です。 収入を得る方法も多様化しているため、 もし上記のような収入がある場合は細かくチェックしてみてください。
フリマアプリの売上
たくさんフリマアプリを使って不用品販売をしている場合、年間20万円を超えることもあるかもしれません。しかしこういった不要品を売却したのであれば、副業収入には該当しないのです。
ただし注意点があり、あくまでも不用品を販売した場合に限るということです。
フリマアプリでハンドメイド作品を販売する場合や、「せどり」として安く仕入れた商品を販売するような事業としてフリマアプリを活用する場合は、確定申告の義務があります。
NISAやiDeCoの利益
今では投資をする人も増えて、「NISA」や「iDeCo」を活用するケースも多いでしょう。しかしどちらも非課税となる制度のため、確定申告する必要がありません。
配当金、分配金、譲渡益といった内容が非課税になることを覚えておきましょう。
付与されたポイント
クレジットカードなど、決済方法によってはポイントが得られます。このようなポイントは現金同様、決済に活用することができますね。
しかし獲得したポイントは確定申告をする必要はありません。あくまでも「商品の割引と同じ」という捉え方なのです。
宝くじの当選金
宝くじの当選金は「非課税」となっており、これは「当せん金付証票方」で定められています。
そのため大きな額を宝くじで得たとしても、確定申告は不要となるのです。
【注意】確定申告しないとヤバい
確定申告が不要となるケースもありますが、原則として業務委託や一定以上の副業収入がある場合は確定申告が必要です。
確定申告を怠ることによって、ペナルティが課せられることがあります。
特にフリーランスになると、税金や確定申告に関する知識は必要となります。覚えておくべきことはたくさんありますが、自分の身を守るためにもしっかりと基礎知識を覚えておきましょう。
少しでも確定申告の不安を解消したい場合は、会計ソフトを使ったり税理士に相談したりするなど、本業に充てる時間を増やす工夫をすることが大切です。